冷凍食品技術研究 No.20 1991年9月発行
1.冷凍野菜を巡る商品開発
安藤 幹雄 (ライフフーズ株式会社)
1960年代以降のアメリカの冷凍野菜の歴史において、冷凍ポテトが主役であり続けていることが述べられています。フレンチフライがハンバーガーやフライドチキンと組み合わされ、世界的な人気を博した経緯が紹介されています。1989年時点でのデータによると、全冷凍野菜生産量に占めるポテト類の割合は、アメリカで63.4%、日本で34.5%を占めていました。アメリカでは冷凍ポテト製品の約87%が業務用(フードサービス向け)であり、特にフレンチフライの比率が85%と圧倒的です。また、マクドナルドの発展に冷凍ポテト生産が大きく貢献したことや、ポテトがアメリカの食文化の尖兵であるとの見解が示されています。
2.冷凍食品加工機械
峰岸 一雄 (味の素冷凍食品株式会社)
調理工程で使用される成型機について解説しています。成型機の分類表に基づき、それぞれの構造と機能が図解付きで説明されている。具体例として、「モールド板式成型機」としてシューマイの成型機が、「包餡式成型機」としてまんじゅうの成型機が挙げられる。
3.冷凍食品の原材料講座15
上野 治男 (村瀬米穀)
米の食味を左右する主な要因の産地・品種・栽培条件について述べている。品種は、米の食味を決定する最も重要な因子です。様々な要因においても食味の低下が少ないという特徴ゆえに、コシヒカリは優良品種とされている。産地の気象条件・土壌も味に影響する。気温が高ければアミロース含有量は低くなり、気温が低い場合には増える。気温は米の味に大きな影響を与 える。好適な平均気温は21~25℃とされ、気温が高いとアミロ―ス含有量は少なく、気温が低いと多くなる。
土壌では、例として花崗岩土が火山灰土よりもおいしい米を生産すとされ、砂質土は重粘土よりも排水性が良く、より良い食味につながる。タンパク質含有量が多い米は、食味が劣ると一般的に言われています。この含有量は、品種や施肥(特に実肥)によって大きく変動し、実肥を施すと約30%増加することが分かっています。また、水稲に比べて陸稲や畑地でかんがい栽培された水稲は、玄米のタンパク質含有量が多くなる傾向にある。稲の出穂日が早くなるほど、タンパク質含有量が増えるという関連性も指摘された。同じ産地・品種であっても、生産者ごとの栽培管理によって、粘りやタンパク質の数値は異なるため、一つとして同じものはないとされる。これまでの「特定のブランド米を作れば高く売れる」という安易な考え方は通用しなくなる。今後は、市場の需要に合った米を、いかにしてコストを抑えて生産するかが重要となり、産地間の競争はさらに激化すると考える。
