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冷凍食品技術研究 No.7 1987年12月発行

〈規格規準〉水産物の国際商品規格

田口 博人(水産庁漁政部水産流通課)

FAO/WHO合同食品規格委員会の設立経緯、組織構成、魚類・水産製品規格部会の役割、国際規格作成手続きが説明され、水産物の缶詰や急速冷凍品など多数の国際規格が整備されてきた経過を示している。太平洋サケ缶詰や急速冷凍フィレーブロックなど具体的規格案を例に、原料要件、添加物、微生物規格、表示やサンプリング方法、欠点表まで詳細に規定され、各国が受諾することで貿易の公正化と消費者保護に資することが強調される。一方で先進国では国内法との整合から受諾が進まず、今後は規格の一層の充実と各国の積極的受諾が重要な課題と結論づけている

〈海外報告〉台湾の冷凍食品業界の現況

小泉 栄一郎(大洋漁業株式会社)

1980年代半ばの台湾における冷凍水産・農産・畜産・調理食品の輸出量と工場数、生産能力が整理され、総生産量の大部分を輸出が占める輸出主導型産業であることが示されている。主力は冷凍エビとウナギであり、政府認定制度による輸出工場の衛生・品質管理水準は高く、設備も競合国と遜色ない一方、国内消費は低くコールドチェーンや流通体制、関連資材産業、人材・研究開発の弱さが課題とされる。今後は素材品から付加価値の高い調理品への転換、ブラックタイガー養殖の環境問題への対応、国内市場育成と機械化・省力化を進めつつ、小回りの利くオーナー経営を生かして発展が期待できるとまとめている。

〈製造技術〉冷凍食品の袋の膨れについて

大須賀 弘(ユニチカ株式会社)

冷凍ショーケース内で一部の小袋だけがパンパンに膨れる現象について、実測データがない前提で物理・化学的要因を理論的に検討した報告である。温度変化による気体膨張、水蒸気の昇華圧、内容物中溶存ガスの放出、微生物や酵素によるガス発生などを仮定して内圧変化を計算するが、単純なモデルでは観察される膨れを十分説明できないことが示される。最終的に、現象解明には袋内ガス組成や温度履歴などの具体データ収集と業界での情報共有・議論が不可欠であり、本稿を契機に原因究明が進むことを期待すると結んでいる。

〈施設管理〉「冷凍食品工場の理想的レイアウトについて」

大内山 俊樹(株式会社ニチレイ)

新設・増改築時に「理想的レイアウト」を実現するための考え方が整理されており、まず法規制、将来の増設、自然条件、用水・電力・排水・燃料、人・物の動線、情報管理、予算、衛生管理など多面的条件を十分検討する必要があると説く。建物構造別の特徴や、天井・壁・床の仕様、結露防止、清掃性・耐水性を確保した仕上げ、配管・配線配置など具体的な設計留意点を挙げ、加工場のIE的な流れ設計と管理事務所配置の重要性を示している。結果として、将来の変化に対応可能で衛生的かつ効率的なレイアウトこそが冷凍食品工場にとって理想であり、そのためには初期の基本計画段階での綿密な検討が決定的だと結論づけている。

〈衛生管理〉サニテーション請負業のパイオニア

中西 勝由(株式会社ビケン)

食品工場の清掃・殺菌作業を専門会社が一括請負する「トータル・サニテーション・サービス」の内容と導入メリットが紹介されている。生産終了後に専門チームが機器・床・空中浮遊菌まで包括的に衛生管理を行うことで、製品の二次汚染防止、食中毒リスク低減、対外的信頼向上に寄与し、工場側は生産要員のロスタイム削減により増産余地を確保できるとする。さらに、専門教育を受けたスタッフの継続的作業と研修体制により、高度な衛生水準を維持できることから、外注はコストだけでなく労務管理やイメージ向上の面でも有効な選択肢と結論づけている。​

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